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ケーススタディ「サポートメンバー制度」…これからの人事採用戦略

ケーススタディ「サポートメンバー制度」…これからの人事採用戦略

目次

  1. 繁忙期の人員確保が悩み
  2. 退職者の技能を活用「サポートメンバー制度」の確立
  3. 退職者、サポートメンバーとの関係性構築
  4. まとめ

繁忙期の人員確保が悩み

全国で写真館を展開しているA社。 衣装貸出と撮り放題のスタイルが広く受け入れられ、店舗数・利用者数を伸ばし続けて います。
とくに七五三や入学式などの記念写真撮影の需要が高く、こどもの笑顔を引き出すのに 女性スタッフの活躍が欠かせないようで、店舗スタッフの実に99%以上を女性が占めて おり、同社の成長を支える重要な屋台骨となっています。
A社は、こどもに特化した写真館ならではの、労務上の課題を二つ抱えていました。
まず、女性スタッフが多いゆえに妊娠・出産・育児などライフステージの変化を きっかけとした退職が多いこと。
更に短時間勤務制度の利用も活発で、常時、代行スタッフを必要としてしまう。
次に、平時の必要人員数約5000人に対して七五三シーズンには約3倍の約15000人と 繁閑の波が激しく売上が偏っていることから、毎年の繁忙期には8000人もの 短期アルバイトを採用して切り抜けてきたそうですが、その多くは未経験者で、 一から教育する時間と労力が必要なうえ、ピークを過ぎれば退職してしまいます。
確実な人員確保と、適材配置。教育費をはじめとしたコストの削減。
これらの問題を前に、解決の糸口として着目したのが現場業務のスキルを身に付けた OB・OGでした。

退職者の技能を活用「サポートメンバー制度」の確立

2007年、初の試みとして、前年の七五三シーズンに働いた短期アルバイトへ 「今年もまた働いてくれませんか?」と、往復ハガキを約3000通送ったそうです。
すると、2割近い方々から再就労の意思を得ることができました。
業務経験者から募ることで有料広告費が掛からず、教育にかけるパワーもコストも 最小限で済みました。
更にメンバーの基本情報に加えて、例えば「ヘアーセット」「着付け」等、 保有スキルについて申請してもらうことで、退職者のスキルを「見える化」し、 店舗への適材配置を可能にしたのでした。
その後、データベースでの管理をスタートさせ、各店の必要シフトを可視化して、 店舗の状況に応じてメンバーを要請できる「サポートメンバー要請システム」を確立、 スポットで働ける方を登録できる専用サイトも立ち上げました。
これにより、店舗シフトの充足率が飛躍的に高まり、短期アルバイトの新規採用も少数で 済み、求人広告費も6割以上を削減することができたそうです。
必要店舗に必要スキルをもつメンバーを必要時間だけ配置することが計画的かつ効率的に行え、繁閑差が激しくても各店舗のサービスを安定維持できる体制を実現させられました。

退職者、サポートメンバーとの関係性構築

自身のライフステージに合わせた働き方ができる点で、サポートメンバー制度には 大きなメリットがあります。
働けるとき、限られた時間だけでも希望エリアで働け、スキルを活かして活躍し続けられることは、本人にとって非常に価値が高いのは言うまでもありません。
また、このシステムでは連絡先などもマイページから自分自身で編集できるように なっており、離職期間もA社との繋がりは絶たれず、連続性(履歴)が 保たれている状態なので、「従業員資産」を財産として磨いていくことができます。

まとめ

今回のコラムにおけるポイントは、以下の3つ。

  1. 【POINT1】繁忙期の人員確保が大きな悩み
  2. 【POINT2】退職者の技能を活用「サポートメンバー制度」の確立
  3. 【POINT3】退職者、サポートメンバーとの関係性構築

いかがでしたか?
商売上の顧客(CMS)同様、労働力としての個人と企業の関係も、永きに渡って 「リピートしていただける関係」へ昇華していくことで、生産性向上が期待できると 思います。
A社は何よりも「従業員の満足」を第一に考えてきたそうです。
従業員が幸せに楽しく働けることが、パフォーマンスを向上させ、結果的にお客様の満足に繋がるという考えですね。
「メンバーたちの支えがあるから大勢のお客様をお迎えできる」 各店に多くのサポートメンバーがいることが、顧客満足に繋がるという素晴らしい 事例でした。

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