人材関連コラム
2015年11月30日、某大手自動車メーカーが、国内の従業員の定年を60歳から65歳に延長する方針を明らかにしました。また、某ファーストフードチェーンも積極的にシニアを採用し、その接客態度が評判を呼んでいるそうです。
そこで今回のコラムは、現在急増中の「シニア積極採用」についてです。
お客様先で「どんな人が欲しいですか?採用ターゲットはどんな方ですか?」と質問をすると、「若い人!20代!」なんて答えられることも、少なくありません。
その理由を聞くと、「体力必要だから」「動いてもらわないと困るから」「若い人のほうが、お客さんも嬉しいでしょ?」etc…
このコラムを読んでくださる皆様の中にも、同じ考えをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
では、シニア採用は本当にデメリットばかりなのでしょうか?答えは「いいえ」です。シニア採用のメリットはあります。
例えば…
(1)豊富な人生経験を活かしてくれる
(2)時間の融通が利いたり、定着してくれる人が多い。
といった点です。 それでは、その理由についてお話ししましょう。
実は今、「定年で引退したがまだまだ働き続けたい」と思っている「熟練の技」を持つシニアの採用が増えています。
例えば、某大手飲食チェーンでは、調理師として腕を振るっていたシニアを積極的に採用しています。これは、あまり包丁を握ったことのない学生・若いフリーターよりも即戦力になってくれることを期待しての取り組みです。
更にこのタイプは「自分はまだまだ元気で働きたいのに」年齢だけがネックで前の会社を引退せざるをえなかった人が多く、仕事への意欲・やる気も高い傾向があります。
また、人と接する際、無意識に人に合わせた対応のできる人が多いこともシニア採用の魅力の一つ。子育て経験や社会人経験などを活かし、小さい子どもや学生、中年世代やビジネスマンなど、幅広い年代の人との接し方を身につけている人が多いのです。
そのため、サービス業など、人と接する業界でのシニア採用が特に増えています。
もちろん、全てのシニアが上記に当てはまるわけではありませんので、応募があった後、面接でしっかり見極めることが大切です。
フリーターと同じように、穴が空きがちな午前中に対応してくれるシニアもいます。規則正しく朝早くから活動している人が多くいらっしゃるからではないでしょうか。
一度仕事を始めると長く働き続ける傾向があり、若者が避けがちな仕事内容でも地道にコツコツ続けてくれる人が多いのも特徴。
シニアは働く理由として「生活のため」と答える人が若年層より多いことも、定着率が高い一因と言えるでしょう。
また、その他にも「条件が合えば助成金が出る」等、コスト面でのメリットもあるようです。
※詳しくは厚生労働省のホームページなどでご確認ください。
■厚生労働省「高年齢者雇用対策(各種助成金など参照)」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/
それでも「シニア層は絶対採用しない!」と考えている方、「少子高齢化」というリアルな現状について考えてみて下さい。
平成25年10月1日に発表された人口統計データによれば、現在、日本の人口で50歳以上は5703万人。なんとこれは、日本の人口の約44.8%!※
※(出典)政府統計の総合窓口e-Stat「都道府県,年齢(5歳階級),男女別人口-総人口(平成25年10月1日現在) 」
のデータより50~100歳以上の数字を足した数値
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001118081
つまり、年齢の高い方が多い日本では、若い人だけでは会社やお店を回すのが難しくなりつつあるのが現状です。少ない人数のまま、若いスタッフにも無理をさせると「ブラック企業、ブラックバイトだ!」と、現在働いているスタッフまで辞めかねません。
いかがでしたか?
実際に弊社のお取引先でも、若年層からシニアまで採用向けのキャッチコピーに変更したところ、応募数が上昇し、元気なシニア世代の採用ができた!という嬉しいお声をいただきました。
この機会に、今一度採用の基準を見直してみませんか?「元気なシニア」採用で、採用難を乗り越えることができるかもしれませんよ。