人材関連コラム
いざ、求人広告を掲載してみるとあまり予想していなかったような属性を持つ求職者からの応募もありますよね。
求人広告は今、応募者の年齢や性別、そして居住地などの制限ができません。貴社の採用ターゲットから外れている応募者がいらっしゃっても真摯な対応をすることが必須。
また、予想外だからといって、求人広告と相違のある条件を応募者へ突きつけることもタブーです。
その中でも度々おこる「交通費」の問題が、今回のテーマです。
「交通費全額支給」と書いている会社の多くが遠方からの通勤を想定していないようです。
会社側が予測する以上に遠いところから通おうとする人が現われたときに、「そこまで遠いと払えません」と言ってしまうことがあります。
「交通費全額支給」と書いてある以上、どのようなケースでも交通費は全額支給されなければウソの広告ということになってしまいます。
「ウソの求人広告だった」ということにならないためにはどうしたらいいのか。
交通費を全額支給することが絶対ではない場合は、「交通費全額支給」とは書けません。
例えば、ひと月もしくは1日の支給上限が決まっている場合は、「交通費支給」としたうえで、支給条件を併記します。※「交通費支給(1ヶ月2万円まで)」など
支給条件などについて表記しきれない場合は、単に「交通費支給(当社規定による)」、「交通費一部支給」「交通費規定支給」との表記も可能です。
ちなみに、支給額の上限だけでなく、「自宅から2km 圏内の駅までのバス代は支給なし」「車通勤のガソリン代は支給しない」などの例外事項に心当たりはございませんか?
「交通費」は公共交通機関のみだと考えていらっしゃる方も少なからずいらっしゃいますが、自動車・バイク通勤も可としているのであれば、ガソリン代のことは記載しておいた方が良いでしょう。
つまり、交通費について何らかの規定があるならば、誤解を招くような表記を控え、正しい情報を記載することがトラブル回避につながります。
「交通費全額支給」と書いてあったのに…、というトラブルで最も多いのは、「交通費がかかりすぎるから払えない」というもの。
「通勤に2時間以上もかける人などいないだろう」「新幹線で通勤することを前提に仕事を考える人などいないだろう」「車のガソリン代まで支給してくれると思う人などいないだろう」。
これらはすべて会社側の勝手な思い込み。
また、社内規定では交通費の支給額が詳細に決まっているのに、募集担当者が知らずに「全額支給」と表記してしまうケースもあります。求人広告の表記内容は間違いのないよう、慎重に確認して下さい。
「そこからなら歩いて通勤できるから、交通費は支給しません」という対応も、応募者は納得できないものです。
また、「公共の交通機関を使う場合は全額支給だが、車通勤の場合はガソリン代の一部しか支給しないと言われた」というトラブルも。
これも、最初から「車通勤の場合はガソリン代の一部を支給」と書いてあればトラブルを避けられた事例です。
このほか多いのが、面接時や、派遣会社・請負会社への登録時の交通費。「面接交通費支給」と書いてあったのに、「採用者にしか支給しません」という対応だったり、登録者に対して「説明を聞いただけで帰る人は対象外です。登録した人にしか支給しません」という対応も、書いてあったことと違うというトラブルになるので注意が必要です。
なお、面接や登録の際の交通費を支給するという場合は、予想以上の人がやってきて交通費を払えなかったということがないよう、十分な準備をしておきましょう。
登録者にクオカードを支給するとしていたのに、準備していた以上の人が登録に来たためカードが足りなくなって途中から支給できなくなり、結果的に登録者から苦情が殺到したというケースもあります。
求人広告に書いたからにはその通りに実行することが何よりも大切です。
今回のコラムにおけるポイントは、以下の2つ。
【POINT1】交通費全額支給=遠方や自動車通勤の場合も当てはまります
【POINT2】予測していなかった事態が起ころうとも、基本的には求人広告に書いた内容が絶対!
無用なトラブルを防ぐため「まあ大丈夫だろう」と思うような表現は控え、正確な内容を記載していきましょう。