人材関連コラム
みなさまは、現在日本にどれだけの外国籍の方が 在留しているかご存じでしょうか?
2014年のデータとなりますが、実はその数なんと212万人に達します。
では、このうち、実際に就業をしている方は何人でしょうか? 答えは、3割程度の78万人にすぎません。残りの134万人の方は未就業というのが現状です。
国別の内訳は、 中国30.9%、韓国・朝鮮23.6%、フィリピン10.3%、 ブラジル8.3%、ベトナム4.7%、アメリカ2.4%、 ペルー2.3%、タイ2.0%、ネパール2.0%、台湾1.9%となっています。
この方々は働くことを希望しないのでしょうか?
いいえ、一部の富裕層の方の扶養環境にある方も いらっしゃるかとは思いますが、実は働きたいと思っても、 職を見つけることができない方のほうが多いのです。 また、先述のとおり在留外国人の多くが 若手であることもあまり知られておりません。
日本の大学は現在、少子化のあおりを受け、 入学希望者の減少という課題を抱えています。
一方で、特にアジアをはじめとする海外留学生にとって、 日本の大学で学ぶことが大きな意味をもっているのも事実です。
一般に、「内向き」と評価されることの多い日本人学生にとっても、 留学生の増加はグローバル社会において求められる 国際感覚の醸成を見込んで国は多くの外国人留学生を受け入れており、 今後もこの動きは一層高まるでしょう。
つまり、若い在留外国人のほとんどが 職に就きたくても就けない状況にあるということです。
現在、働き手を求める企業側と労働を希望する 在留外国人双方の間には、主に二つの壁が存在しています。 外国人採用に至らない理由で、 企業側からしばしば耳にすることは「言語の壁」、 そして「価値観の違い」です。
しかし業務内容を細かく見ていくと、 実際には「言語能力」や「価値観」よりも 「志向や適性、呑み込みの早さ、学習意欲の高さ」が 重視されるケースが多いのが事実なのです。 つまり、外国人採用を敬遠している企業の多くは、 敢えて採用しない理由を見つけていると言えなくもありません。
例えば、言語の壁については、 ホームページを多言語化対応にすることで乗り越えている企業様もあります。 また、既に外国人スタッフが働いている職場であれば、 同国出身のスタッフが有効にサポートできるため、 新規スタッフの学びのスピードも高まることでしょう。
志向性をチェックするには、就職試験などで活用される 適性検査の簡易版が存在し、中国語や英語での受験が可能になります。
さらに、レポートを書いてもらうことで 価値観をすり合わせるポイントを企業側が理解したり、 反対に仕事の進め方を理解してもらう参考とすることができます。
現在、訪日外国人(インバウンド)の消費は年間二兆円を超えています。
この方々のニーズに確実に対応していくためにも 外国人スタッフの活躍は今後ますます重要になってくるでしょう。 また、一時的な観光客ではなく、 日本に在留している彼らは自社の継続的なお客様でもあります。
つまり、在留外国人の活躍が、厳しい日本の経済環境の今後を 勝ち抜く原動力となることは間違いないと思われます。 よって、在留外国人を労働力の補填としてではなく、 新しい経営基盤をつくる戦力として位置付けることも必要ではないでしょうか。
そこであらためて在留外国人の雇用全般も視野に入れた、 人材採用の見直しをしてみてはいかがでしょう。
今回のコラムにおけるポイントは、以下の4つ。
【POINT1】在留外国人の多くが若手
【POINT2】在留外国人採用を隔てる壁
【POINT3】世間の現況を考え、在留外国人の登用も一つの策
いかがでしたか?
2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向け 益々インバウンドの消費も増えていくことでしょう。
前述しましたが、人材不足の解消という策での 在留外国人採用という考え方から、 グローバルな経営基盤拡大という積極的な企業戦略として、 ご検討されてはいかがでしょうか。