人材関連コラム
2016年8月に、「働き方改革」担当大臣というポストが内閣に新設されました。
これをきっかけに、これからの働き方が さらにブラッシュアップされるのではないかと期待されています。
ところで、いま世間に求められている働き方とは、 いったいどんな働き方なのでしょう。
安定した生活を送りたくて正規雇用を選ぶ人、 正規雇用だったもののライフステージの変化などを考慮して非正規雇用を選ぶ人、 正規雇用だったものの夢をかなえるためにあえてフリーランスを選ぶ人、 などなど、結論としては人により様々です。
とはいえ、この20年間で非正規雇用が増えたことは事実です。
では、なぜ非正規雇用は増えたのか、 しかもこの非正規雇用の増加は日本だけでなく、 米国、韓国、イギリス…と全世界的に起きているようなのですが、 なぜこうした現象が起きているのでしょう。
非正規雇用者が増えた理由としてしばしば語られるのが、 「女性の社会進出が増えたものの 現状では家庭と両立するのが大変だから…」といった理論です。
しかし、実はそうとも限らないぞ、という研究結果があります。
そちらの説では1986 年~2008年のデータを用いて 非正規雇用が増えた要因を分析していましたが、 上述したような女性の社会進出は非正規雇用者が増えた要因として 約4分の1しか説明できないことが示されていました。
では、残りの4分の3を占める要因は何でしょうか?
その要因は2つ。
1つは景気の不確実性(景気が良い悪いを繰り返しやすい)が増し、 業績の予想を立てにくくなり、それを補うために 多くの企業が非正規雇用者を増やしたこと。
そして、もう1つの要因は、情報技術の導入です。
PCやインターネットの発展によって正社員として 常に会社にいてもらいたい人材へのニーズが薄れてきており、 逆にIT(情報技術)の導入によって働き方に柔軟性を持てるようになり、 正社員でなくても働けるスタイルが増えてきたからだそうです。
こうしたことを考えると、企業側の正規雇用へのニーズは 今後もどんどん落ちていくことが予想されます。
日本の労基法では企業側は解雇しにくいですし、 さらには不確実性が高い経済環境で社員に依存されてしまっても 最後まで面倒を見きれなくなります。
ただ一方で、非正規雇用だけではその企業への忠誠心が育たず、 会社に尽くしてくれる人材を生み出すことも難しくなっていきます。
そこで登場するのが、「フリーランス型正社員」です。
正規と非正規の中間職的位置づけで、 いろいろな会社でのプロジェクトベースをかかわりながら、 働き先を分散させるようなワーキングスタイルの総称です。
たしかに、経済や雇用の先行きが不透明のなかで、 いろいろな会社にリスクを分散させる働き方が 増えてもおかしくないような気がします。
こうしたワーキングスタイルに、 いま注目されている女性の社会進出がマッチすれば、 雇う側も働く側も長いお付き合いができる関係が築けるのではないでしょうか。
今回のコラムにおけるポイントは、以下の2つ。
【POINT1】この20年で「働き方」に何が起きた?
【POINT2】「フリーランス型正社員」
いかがでしたか?
新たな取り組みを考える企業、 現況に合った就労スタイルで働く方々、 今までは当たり前だったことが当たり前でなくなる時代。
先を見据えて、課題を解決する取り組みを実行していく企業や、 ワーキングパーソンがそれぞれのフィールドを 拡張できる日もそう遠くないのかもしれません。