人材関連コラム
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日本の労働特色として「とにかくモーレツに仕事をこなすことが美徳」≒「遅くまで仕事している人が評価される」という長時間労働状態が根強く生きています。
しかし、この状態は企業の健康状態としてはけっして好ましいものではありません。
なぜかというと、まず挙げられることは時間外労働=賃金効率が悪いということ。そしてもう一つの問題は、過重労働=過労死につながること。
どうにかしないと…と分かってはいても、多くの企業でなかなか定時退社ができる状態まで改善できていないのが実情です。
一見単純そうにみえて効果的なのが、この社是設定だそうです。
上司部下の関係でついつい長時間労働が発生する環境の改善をトップが宣言し、トップと社員間で協力して時間外労働0(=賃金効率100)を目指すことを掲げます。
それを実現するには、時間管理を徹底して行うことも大切ですが、管理による締め付けよりも、早く帰ってもなにも批判されない、むしろ良いのだという意識付けや、社風を創り出すことなどアナログ的政策のほうが、効果的であるようです。
そして長時間労働が企業風土となっている場合は、徐々に浸透させていくことが大切ともおしゃっています。
「時間外労働が長い=会社に貢献している」という時間貢献主義を捨て、むしろ時間外労働をしている人間を非効率状態と断定し、評価する効率主義評価制度の導入も効果的だそうです。
「~の仕事があってつい……」という時間外労働もばっさりと切りつけ、全ての時間外労働のうち一定レベルを超えた社員の評価を下げる=賞与査定を下げることで、賃金効率を上げます。
そして早く仕事を終える社員をあえて評価することで、早く帰っても遅く帰っても年収は同じなのだという意識付けをし、定時退社を促進するそうです。
ただし気を付けたいのが、過重労働の社員にそれを強要しなくてはいけないことです。
増員による時間外労働の解消や業務効率の向上教育、一人あたりの業務量削減などの施策を取らずに闇雲に「時間外労働を減らせ、とにかく減らせ」と強要すると、社員の不満が増大するだけでなく、過労死などの大問題に発展することもあるそうです。
前月の時間外労働を社内全員に公開してしまうことも、時間外時間軽減につながることがあるそうです。
「あの人はあの仕事ぶりでこの残業時間の多さは不思議だ」などの社内の噂をあえてつくることで、つきあい残業・だらだら残業など、もっとも賃金を支払いたくない時間外労働に全社で注目し、(本人の意思に関係なく結果的に)時間外労働手当や目当て残業をしにくくする社風を形成になるようで、これはかなり効果的な時間外労働の解消ファクターとなり得るようです。
ノー残業デー制度を導入している会社も多いようですが、もっとバラエティに富んだノー残業習慣を自然と取り入れさせるものにする内容で、例えば一週間時間外労働0とするノー残業ウィークなどを導入している企業も最近では見受けられるようです。
人間誰でも一週間残業0となると、その習慣(社風)に慣れていくことができるようになるそうです。
また、「水曜日は帰れないほど忙しいのにノー残業デー指定はつらい」ということがないように、一週のうち1日を任意かつフレキシブルにノー残業デーとして設定する方法も考えられるともおっしゃっています。
今回のコラムにおけるポイント
いかがでしたか?
残業を徹底的に削減することは、企業利益につながります。
これを機に、長時間労働を美徳とする企業風土を徐々に変えていくことも必要になってきている時代と言えるのではないでしょうか。