人材関連コラム
こちらのコラムでも、過去に数回掲載いたしましたが、多くの企業が悩まされている“人手不足”の問題。特に多くのアルバイトさんやパートさんを抱える飲食・小売・サービス業を営む企業にとっては大きな課題となっています。
少子高齢化が進んでいく日本において、避けては通れないこの大きな課題にどう立ち向かっていけばよいのかを、ご紹介します。
今、多くの企業が直面している人手不足の原因となっているのは何でしょうか?
日本は少子高齢化社会と言われていますが、中でも特に人手不足と関係が深いのが、「生産年齢人口」の数であり、それは労働力の中核をなす15歳~64歳までの人口を指しています。この「生産年齢人口」が年々減っていくトレンドになっているという点が重要だそうです。
データを見てみると、2015年~2020年の間におよそ7,682万人から7,341万人に減り、5年で約340万人強という、かなり早いペースで働き手が減少しているという事実だそうです。
そしてもう一つが、アルバイト・パート層の働き方も徐々に変わってきているそうで、具体的にはアルバイト・パート層の働きたい時間が、短時間・少日数にシフトしてきているという傾向を挙げられています。
求人倍率が高くなっていることに加え、勤務日数・時間は短く働きたいと考えているので、企業側からすると、これまでの手法が通じず、より一層アルバイト・パートさんの労働力確保に苦慮される状況になっているようです。
そういった課題がある中で、各企業が人手不足を解消していくために、何かできることはあるのでしょうか?
働き手の希望にフィットするお仕事を提供していくことが、これからのアルバイト・パートさんの労働力確保のカギになることは間違いないとおしゃっています。
求職者が希望する条件の背景にあるニーズを理解し、それを叶えていくことが重要であり、例えば子育て中の主婦(夫)であれば、育児の合間の時間で働きたいというニーズ、シニアの方であれば、働きたいけれど体力的な理由から短時間で働きたいというニーズなどが、それにあたります。
求職者のニーズに応えるため、勤務シフトをより短く切って人材募集を行うことはシンプル、かつ非常に有効だそうです。「1日6時間以上で応相談」という時間帯でしか募集していなかったところに、「1日3時間からでもOK」と柔軟に扉を開くようなイメージです。
シフトを細分化されているほうが、働き手から見ると自分の希望に合わせて働くチャンスが増えます。
そうすることで、時間的な制約がある主婦の方やシニアの方も応募しやすくなり、今まで働けなかった方々の「潜在的な労働力」を活用することができるとおっしゃっています。
そして、業務について細かく切り分けることも重要だそうです。
1人が幅広い業務をなんでも全てこなすという状況では、どうしても業務の習熟に必要となる期間が長くなってしまい、短時間で働く方に任せるには難易度が高くなってしまう結果となりえます。
例えば、「棚の整理をする人」「食材の仕込みをする人」というように業務を細かく切り分けて、短時間で働く方を「この仕事だけを専門でやる人」というかたちにすれば、自然と短時間勤務化も実現できます。
現実的に、工夫は必要となるでしょうが、専任の業務を限られた時間で対応できるよう変えることで、働く時間や日数に制約のある方でも、より働きやすくなります。
今すでに働いているスタッフの潜在労働力を活用することも、より重要度が増してきているそうです。実は、アルバイト・パートさんの方が働きたいシフトを提出しても、その希望勤務時間のうち、約20パーセントが却下され働けないという実態があるようです。
つまり、アルバイト・パートの方の多くが条件さえあえば「もっと働ける」「もっと働きたい」と思っていらっしゃると、いうことなのです。これは、企業が活用できていない潜在的な労働力があるということになりますね。
今働いているスタッフさんの潜在労働力を具体的に活用するには、シフト管理者とアルバイト・パートさんとの間で勤務時間の調整を頻繁に行うことが重要だとおはなしされています。
アルバイト・パートの方が提出した勤務時間の希望に添えなくても、「代わりにこの時間はどう?」と提案してみたり、シフトの確定からしばらく時間が経ったところで、改めて「この時間に出られるようになってない?」と確認してみたりと、こまめに調整をかけることの積み重ねが労働力確保に繋がっていくということです。
もう1つ、既存スタッフの潜在労働力を活用する有効な手段として、近隣店舗で協力し、店舗間でのスタッフ共有(シフト共有)を機能させることだそうです。こちらは、最近では飲食店や美容院さらに介護事業所などで活用されているようです。
今回のコラムにおけるポイント
いかがでしたか?
「制約があって今まで働けていなかった方を採用する」
「今働いているスタッフの“もっと働きたい”希望を汲み取る」
など、今まであまり活用してこなかったような潜在的な労働力を上手に活用していくことが、人手不足の状況下において企業が取り組むべきテーマの1つだと言えるのではないでしょうか?